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現代日本人はどんな足?

かつて日本人の足は「だんびろ甲高」だと言われていました。

足長に対して幅が広く甲が高いため欧米の靴を選ぶときはワンサイズ上を買うという年配の方のお話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

しかし戦後70年、日本人の生活様式や食生活は様変わりし、体型も大きく変化しました。

身長は伸び、手足は長くなり、総じて言えば「欧米化」しました。

足に関しても同じく、「だんびろ甲高」の日本人足から欧米風に細く長くなってきた、とはまことしやかに言われていることですが、実際のところどうなのでしょう?

 

 

昨年まとめられた日本皮革産業連合会の「足サイズ計測調査事業報告書」の最新レポートに最新の日本人の足データがまとめられています。

結論から申し上げると、確かにここ数十年で日本人の足は細く長くなってきているようです。

しかし、その内容を見ると単に欧米化した、という以上の変化があるように思えます。

 

 

 

1. 足囲が細くなっている 

グラフを見れば一目瞭然、若年層のグラフが左に寄ってきているのが分かると思います。

冒頭のだんびろ甲高からの変化という通説が裏付けられた形です。

 

 

注目すべきは若年女性で、足囲「C」の増加が著しく、新たにボリュームゾーンができたと言えるのではないでしょうか。

 

 

2. アーチ機能の低下

 
足長の伸びとボールジョイント部から後方の伸びがほぼ同一との数値が出ています。これは縦アーチが潰れた結果ではないかと推測されています。

また、外反母趾傾向の強い人ほどインステップ高が低い相関も指摘されています。こちらは横アーチの減衰による結果が疑われます。

つまり、甲高の変化にはアーチの変化(=潰れ)が大きく影響しているということです。

憂慮すべき変化というべきでしょう。

 

 

この報告書からはだんびろ甲高からの変化以外にも興味深い実態が見えてきます。

3 足型(プロポーション)に性差が顕著

 

同じ足長であっても、男性の方が広く、太く、厚い足を持ち、女性の方が外反度及び内反度が高いという有意な性差が見られます。

昨今、ジェンダーレスの社会的情勢を受けてファッション界にもユニセックスデザインの潮流がやってきていますが、靴は一般の衣料より高い機能性と高度なフィット感が求められます。

ユニセックスラインを企画する場合は足長のみならず足囲、足幅、素材の耐久性など多角的に検討する必要がありそうです。

 

 

 

4. 爪先形状タイプの偏差

 

特に若い女性にエジプト型が多いことが見てとれます。 

5. 外板角度の増加

 

いわゆる外反母趾が増加傾向にあります。

このトレンドは長く続いており、女性により顕著ですが男性にも見られます。

先述のアーチ機能の低下と合わせて足の機能の低下を示唆する結果で、これからの履物には従来のクッション機能やアーチサポートといった「足の保護」のみならず、足を鍛える、本来の機能を引き出すという「足の機能維持・向上」という役割が期待されるようになるかもしれませんね。

 

 

 

今後、どのように足や生活様式が変わっても履物を履かなくなるということはおそらくないでしょう。

しかし、場面や個人の状況により多彩な履物を履き分けるようになっていくのかもしれません。

*グラフ・データ引用元:日本皮革産業連合会「足サイズ計測調査事業報告書」令和3年4月版

 


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